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2012年07月08日

素人のように考え、玄人として実行する

ちょっと古い本でありますが、ロボット工学の世界的権威、
カーネギーメロン大学の金出武雄先生の著書
「素人のように考え、玄人として実行する」はとても示唆に富んだ本であります。

その中に、貧しかった幼少時代のあるエピソードが書かれています。
長くなりますが、そのまま引用します。

小学校に入る前、近所の川で釣りをしようと思った。
釣り道具を買ってほしいとは言えない。
そこで、自分でつくることにした。

釣りをしている人の様子を観察すると、
J字型をした針金が糸の先についている道具で釣っているのがわかった。

「よし、あれさえあればいいのだ」と、針金をペンチでJ字型に曲げてつくり、
白の木綿糸にくくりつけ、先にミミズをつけて橋の上からたらしてみた。

しかし、何回やっても釣れない。ミミズは取られるばかりである。
白の糸がよくないのかと黒に変えてみてもだめであった。

以来、私は魚釣りが好きになれないでいる。
釣れないのは当然で、釣り針には魚が食いついたら引っかかる
戻りの仕掛けがいることに気づかなかったのである。

私はこの話が好きで、戻りのついた釣り針を見るたびに、
これを考えた人はすごい。きっと魚に逃げられた挙句に
あきらめずにかんがえたのだろうと感心せずにおれない。

・・・「良い結果を得るためには仕掛けがいる」という事を伝えるために、
先生がよく用いるエピソードだそうですが、
釣り人、特にフライフィッシャーの目から見ると、
根本的な間違いに気付きますよね。

釣り針についている「戻り」をバーブと呼びます。
私なんかは普段、戻り=バーブのついていない針、
つまりバーブレスの針で釣っていますが全然支障ないです。

そして、先生のエピソードを読んですぐに気付くのが、
針金を曲げて釣り針をつくっても絶対に魚はかからないということです。

問題は、「戻り」の有る無しではなく、
針金の先が尖っていなかった・・・ただそれだけです。
どんなに立派な戻りがついていても、
先が尖っていなければ魚の口を貫通することはできません。
金出少年がやるべきは、ヤスリで針金の先を削る作業だったのです。

先生はロボット工学は玄人ですが、釣りに関しては私の方が玄人かな(笑)
こんな細かい指摘を受けるために、
このエピソード出したんじゃないんでしょうけれどね。
何事にも専門分野があり、出来の悪い釣りバカが、
ロボット工学の権威に勝る分野もあるという話でした。

余計なこと言ってすいませんね、金出先生。




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この記事へのコメント
こんばんは!
なかなか面白いお話ですね。

釣り針と言えばフライフックに限らず餌釣り用の針だけでも相当数の
種類が出ていて色んな形状をしていますよね。
最近は聞かなくなりましたが良く良い針は「立つ」と聞いたことがあります。
要はハリスを引いた時に針の先端がハリスの引っ張られる方向と
針の先端の向きが同じ針が良い針と言われています。
フライフックを見てもそういう形状とバランスのものが多いですよね。

それからフックを曲げられると言う事もありますが
殆どの場合にはしっかりとフトコロまで刺さっていないから起きる現象だと
言うのがかなり正確なお話だと思います。
まぁとんでもない大物に極細の軸ならばしっかり刺さってもあり得るかもしれませんが(^^ゞ

釣りに限らず「考えて工夫すること」が楽しみの一つではないでしょうか?
沈むフライなら捕食のトリガーを
大きさなのか、色なのか、透質なのか、気泡なのか、どこに自分の意図を置くかででき上がるフライが変わりますよね。

実はおいらは今投げ釣りで使う針をバーブレスに出来ないかな?と
考えていた所でした(笑
Posted by おやぢ at 2012年07月08日 22:01
お久しぶりです。
ワタクシは最近あちこちのブログを拝見しながら、アルコールストーブを作ったり、サイクロン式集塵機を作ったり・・・と工作にハマっています。
ゲーテの言葉だったでしょうか「すべての賢いことはすでに考えられている」ッて言うのがありますが、素人なりにいろいろと工夫してみるのって楽しいですね。
Posted by B級釣師B級釣師 at 2012年07月08日 22:48
釣り針の考え方、非常に興味深いです。
 針先の鋭さは、昔から言われる「爪に刺さって滑らない」程度が基準としてわかりやすいと思います。、
 娘に管釣りで釣らせる私としては、バーブレスフックは非常に刺さりやすく、そして一旦深く刺さってしまうと、無理さえしなければはずれにくい、と考えます。
 逆にバーブがあると、それが抵抗となって弱いアワセでは完全には刺さりません。
 ですから、バーブ付フックのバーブをつぶしたフライフックを管釣りで使う場合、大きな魚なら良いのですが、小さな魚はつぶしたバーブさえ抵抗になってバラシが多くなると感じます。(つぶしたバーブを削るためのリューターを買ったのですが、まだ使ってはいません。)
 バーブレスフックでのバラシの原因は、ラインのたるみは論外として、あとは何といっても無理に寄せ過ぎ。ロッドを前傾させて寝かせて弾力が生きないようにして取り込もうとすると、外れる可能性は高くなると思います。フックの傷口が広がるからでしょうか。(もちろん、針が伸びる場合もあるでしょう。)
 針が伸びる、この原因のひとつに、ボディを太く巻いたフライで、鱒の口にフックが深く刺さらない場合、が多々あると思います。でも、これだけは仕方ないかな。フライの形状と、魚のサイズによって、取り込みの強さを変えるしか解決策はないと感じます。
 最後になりますが、ハリスの引かれる向きと針先の向きが同じフックは、やはり掛かりが良いと思います。あとは、フライのシルエットやボリュームとの兼ね合いで、どのあたりで妥協するか、でしょうか。
Posted by とーちゃん at 2012年07月09日 19:21
○おやぢさん、こんばんは

そうですね、針先の延長線上がティペットと一致するのが一番力が入りやすいですよね。フックが曲がるのはしっかり掛かっていないからというのは初めて知りました。根元までフッキングすれば針は曲がらないのですね。ちなみに、投げ釣りの針はバーブレスだと釣れないのでしょうか?
Posted by ウーリー at 2012年07月09日 22:37
○B級釣師さん、こんばんは

お久しぶりです。工作いいですね、私も大好きです。きっと、この手の釣りやっている人間は工作好きが多いのではないでしょうか。じゃないと、こんな面倒な作業して釣ろうと思わないですよね(笑)私は最近すっかりさぼっていますので、タイイングからリハビリします。
Posted by ウーリー at 2012年07月09日 22:39
○とーちゃんさん、こんにちは

バーブひとつで話が広がりますねぇ。これだから趣味人は楽しいです!
先日、久しぶりに管釣行って、次男に釣らせたのですが、ラインのたるみがうまく処理できず合わせが効かないので、なかなかフッキングしませんでした。いかに合わせが重要か再認識したところです。
Posted by ウーリー at 2012年07月09日 22:41
こんばんは。

>投げ釣りの針はバーブレスだと釣れないのでしょうか?

いやいやそれは無いと思います!
ただ、フライと違って「餌をつけて放置する」のが一般の投げ釣りなので
この釣り方の場合には餌が波によって餌が外れてしまう可能性が高い。
と思うのでバーブレスが普及していないのではないのかな?と考えております。
個人的にはマイクロバーブさえ見かけないのは寂しいのですが(^^ゞ
おおきな返しの付いてるものよりもその方が掛りは良いと思うんですがね~~(笑

渓流の餌釣りではバーブレスあるし(まだこれは糸を張りっぱなしだから出来るかな?)
鯉針は通常はカエシがないので海でも試す価値はあるかな?とは思ってます。

このまえ午後から久しぶりに車で二時間ちょっとの癒しアメ川に行きました。
なまら久しぶりに更新しましたよ(照
Posted by おやぢ at 2012年07月10日 00:46
おやぢさん、こんばんは

久しぶりのアメちゃん、いいですね!
確かにエサ付けるときは、バーブがあった方が良さそうですね。昔、キビナゴで海アメ釣った時も、バーブは必要だったなぁと思いだしました。
Posted by ウーリー at 2012年07月10日 21:43
ええ話やぁ~...
こういう場面に出くわすと、話を聞いている、あるいは読んでいるこっちの方が恥ずかしい気持ちになっちゃいますね。。。まぁ、そんなもんだ、、、みたいに考えて納めようとするしかない、、、この話からわかることは、この先生は子供の頃からかなり鈍臭くて、普通の子供以上に不器用だった。。。そして、いまだに勘違いをしている。。。でも、権威のある先生なんだということ。この話を聞いて私たち一般人がわかることは、ちょっとの差で、あるいは勘違いのまま生きていくことが、あるいは別の常識の世界に入り込むことが出きる。。。つまり私たちが常識人であれと思うことは、作られた常識の世界で、そんな中に身をおいていたら、いっくら経っても天才になれない、、、ということでしょうか。。。私は学生時代に同じく美大生だった村上隆と一緒に予備校の講師をしたことがあります。そして同じ頃にニューヨークに居て(その時はまったく会ったことがなかったし、居たということも知りませんでしたが)、あの人は私からすればかなりの勘違い野郎で、いまでは麻原ショウコウのようにすら見えます。その点私はかなりまともな人間だと思っていましたが、、、そんなでは常識を帰ることは出来ない。。。という話でしょうか?こうして話すと、むしろ私の方こそ、「大勘違い野郎」に思える。
Posted by タッド at 2012年07月13日 22:09
タッドさん、こんばんは。

村上隆は確かに◯◯化してますね(笑)言われて初めて気づきました。サティアンみたいな建物で、美大生達を大量に働かせて壮大な作品を作ってる姿は、なんとなく宗教チックであります。何が常識かわかりませんね。私が引っ掛かった今回の話も、釣りに全く縁がない人同士であれば、うんうん、なるほどなぁと説得力あるんでしょう。ま、言いたいことが伝わればいいのかなという気もしますし。。。先生に直接指摘して反応見てみたいです。
Posted by ウーリー at 2012年07月13日 22:30
 
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